原料にこだわり、香り高き香辛料をつくる
七味家本舗
清水の名物から京の名物となった登録商標七味家の「七味唐辛子」
江戸時代初期、明暦年間(1655~)のころ、清水寺の門前に「河内屋」という名の茶店が創業した。この茶店では、清水寺に参拝する信者のお弁当に唐辛子の粉を振りかけたり、音羽の滝に打たれて修行する行者に、白湯に唐辛子粉を浮かせた「辛子湯」を献上するなどしていたという。
いつしか河内屋の唐辛子は清水の名物となり、やがて文化十三年(1816)、中興の七味家喜三郎は、屋号を「七味家」と改称した。以降、七味家の登録商標である、七味家の「七味唐辛子」ほか、一味唐辛子や山椒は、京の名物として知られるようになり、今日まで清水の門前で暖簾を守り続けてきたのである。ちなみに、元来唐辛子は、漢方薬的な役割で使われていたため、昔は多くの寺社仏閣の門前に唐辛子屋があったといわれている。
一子相伝の製法でつくられる七味家の七味唐辛子は、唐辛子、山椒、白胡麻、黒胡麻、紫蘇、青海苔、麻の実を、絶妙な配分で調合したもの。料理の味を引き立てる薬味・調味料として、たいへん幅広く使われている。また、良質の山椒の実を粉にした山椒も、様々な料理の風味づけ・香辛料に用いられ、和食のみならず中華料理などにも合う、用途の広い調味料として知られている。
良い原料が収穫できなければ、休業も辞さないこだわり
当店では、主な原料となる唐辛子と山椒は自主栽培したものを使うなど、材料には強いこだわりをもっております。特に、山椒については、山椒の木を約六万本栽培し、常に良質な実を収穫できるよう努めています。
昭和四十五年のことですが、台風の影響で山椒が取れなくなり、三~四ヶ月の間店を休業したことがありました。このときは客様にご迷惑をおかけしてしまいましたが、七味家として恥ずかしい商品をお売りするわけにもいかず、やむなく休業するに至ったのです。これからも、良い材料が入手できなかったときには休業も辞さないという覚悟を持って、良い商品づくりに励んでいくつもりです。
当店の製品のつくり方は、代々の当主が一子相伝により受け継いでいます。ですから、基本的には昔と変わらないものをつくり続けています。長く商売を続けられたのは、代々の当主が、時代に合った商売の仕方に対応してきただけのことであり、老舗と呼ばれることを特に意識したことはありません。
京都の景観については、古都の街並みをこれ以上なくしてはいけないと思います。京都のような古都は、街全体が新しい時代のテ-マパ-クであるという観点をもち、百年先を見据えた開発を考えるべきです。京都を訪れる人は、歴史を勉強したり、心の安らぎを求めて来られるわけですから、こうした方々のためにも、素晴らしい古都の遺産を残していかなければならないと思います。
店舗情報
創業 | 明暦年間 |
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商号 | 株式会社清水・七味家 |
所在地 | 京都市東山区清水二丁目221番地 |
電話 | 075-551-0738 |
FAX | 075-531-9532 |
営業時間 | 午前8時~午後6時(冬期は午前9時~午後5時) |
定休日 | 無休 |
URL | http://www.shichimiya.co.jp |