京の味を縁の下から支え続ける
澤井醤油本店
歴史と温もりを感じさせる木の樽に育まれた伝統の醤油
由緒ある醤油店で修行を積んだ初代澤井儀助は、明治十二年二月、島原口において澤井醤油本店を創業した。御所からほど近い現在地に移転したのは、同十六年ごろのこと。創業以来、手作りにこだわった高品質な醤油を一筋に醸造し続け、京の料理界に多大な貢献をしてきた名店である。京格子に虫籠窓と、町家の風情を残す店内に入ると、現在も使用されている大きな木の樽が視界に飛び込んでくる。
代表的な商品としては、「さいしこみしょうゆ(濃口醤油)」や「たまりしょうゆ(刺身醤油)」「うすくちしょうゆ」、そして「京もろみ」があげられる。
さいしこみしょうゆは、出来上がった醤油の生の状態である生揚を、もう一度大豆と小麦で「二度仕込み」を行い、熟成には二年間を要するという。また、もろみとは本来醤油や酒を絞る前の状態のものだが、同店では、醤油の原料とは別に、もろみづくりに最も適した大豆と白麦を厳選して使用。相伝の醸造方法により、一年間かけて発酵熟成させ、なす・きゅうり・生姜を加えて、味わい深く仕上がっている。この他、料理屋や佃煮屋に卸す場合は、それぞれの店に合う味の醤油を特別につくって納めている。手作りを旨とする同店ならではの、クオリティの高いサービスである。
手作りでなければ醸し出せない相伝の味
当店の醤油づくりに関して、マニュアル的に記述されたものはなく、その製法等はすべて口伝で伝わっています。そして、木の樽をはじめとする昔ながらの道具を使い、昔ながらの手作りの醤油の味を守り続けているのです。これまで私どもは、主に料理屋さんなど、業務用に卸す醤油をつくってきました。それぞれの店が必要とする味を醸し出すためには、醸造過程において微妙な加減が必要であり、やはり、手作り以外の方法ではつくれないといってもよいでしょう。
また百味会の催しや地方の百貨店で、当店の醤油やもろみが紹介されたこともあり、一般のお客様からの需要も増えてきました。そのため近年、小ビン入りの醤油も商品化しました。やはり、ご家庭においても、当店の味わい深い手作り醤油を使っていただけば、さらに美味しい料理がつくれるものと自負しております。
現在抱えている問題としては、建物の老朽化があります。もちろん残していきたいのですが、屋根など各所が傷んでおり、いずれは対策を講じなくてはいけませんこの建物自体に麹菌が住んでいるため、新しいビルに建て替えたとして、果たしてうちの味が保てるかという疑問もあります。こうした京都の店特有の問題も、これから充分に考え、解決していきたいと思います。
店舗情報
創業 | 明治12年(1979年) |
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商号 | 株式会社澤井醤油本店 |
所在地 | 京都市上京区中長者町通新町西入ル |
電話 | 075-441-2204 |
FAX | 075-441-4841 |
営業時間 | 午前9時~午後5時 |
定休日 | 日曜・祝日、土曜日不定休 |
URL | https://sawai-shoyu.shop-pro.jp |