京都ならではの手作り蒲鉾にこだわり続ける
いづ萬
かまぼこの名作を代々創出し続ける老舗
出雲出身の初代・萬助が、弘化元年(1844)に創業。「いづ萬」の名称は、「いづもの萬助」にちなんでつけられた。祇園新橋通を、花見小路から知恩院に抜ける道沿いに軒を構える老舗で、京都では最も古い「かまぼこ屋」である。
古来、京都では川魚を中心に食されていた。そのため、初代はかまぼこに適した捕れたての海の魚を確保するために腐心したという。なにしろ、舌の肥えた祇園の料亭や、茶事関係のお客を満足させなくてはいけない。若狭、松江、明石など各地に飛脚を飛ばし、たいへんな苦労の末に、新鮮なかまぼこの原料の仕入れ体制を構築したのである。
二代目以降の当主は、オリジナリティあふれるかまぼこを創作するようになった。夏の味覚として知られる「ハモそうめん」は、二代目・萬吉が、心太のつくり方にヒントを得て考案したもの。現在もいづ萬を代表する傑作の一つである。また、三代目・萬次郎は、二代目以上に風流人で、季節感あふれるかまぼこを次々に創り出した。中でも、竹串に刺して焼いた東山魚餅は、今も名品として人気を集めている。
そして、現五代目当主も、独自の商品開発や、時代に合った商品の小型化などに意欲的に取り組んでいる。すでに確固たる名声を得たいづ萬を、新世紀に向けて、力強く牽引しているのである。
味の秘訣は、材料の鮮度と、心を込めた手作りの製法にある
かまぼこをつくるにあたって、創業以来、当店では「手作り」の製法にこだわり続けてまいりました。鮮度のよい生きた魚を材料に使い、人間の手で心を込めてつくらなければ本当に美味しいかまぼこはできないのです。また、食べ物は生き物であると私は考えています。そして、手作りの食べ物は、つくってすぐに召し上がっていただくべきものです。そういった意味でも、材料の新鮮さはたいへん重要な要素であるといえます。もちろん、当店のかまぼこの味や形は、心の通わない機械を使って再現することは、到底不可能であるといえるでしょう。
当店のかまぼこは、歯ごたえや舌ざわり、喉越しがよいと各方面からご評価いただき、たいへんありがたく、また誇らしくも感じております。これからも、さらに美味しいかまぼこがつくれるよう、伝統の製法に磨きをかけていくつもりです。
さて、京都とい街は、千年以上にわたって天皇家が住まわれた都であり、日本文化の中心地でもあります。そのため、食べ物でも着物でも、日本古来の事物については、最高のものがたくさんあると思います。これらは、代々京都で生まれ育った地の人間が、力を合わせて守り育てていかなければならない、と私は常々感じています。私どもは今後、百味会のメンバ-として、京の街の発展に貢献していけるよう、力を尽くしていく所存です。
店舗情報
創業 | 弘化元年 |
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商号 | 有限会社いづ萬 |
所在地 | 京都市東山区新橋通東大路西入ル |
電話 | 075-561-0983 |
FAX | 075-525-3524 |
営業時間 | 午前9時~午後6時 |
定休日 | 日曜・祝日 |