旨味とこくのある風味を備えた京の奈良漬
田中長奈良漬店
京の味淋を用いて、京ならではの奈良漬を創出
寛政元年(1789)に、「和泉屋」の屋号で味淋の醸造を始めた初代・和泉屋(田中)長兵衛は、本業の傍ら、奈良漬の研究にも熱心に取り組んだ。塩と酒粕で漬け込む奈良漬は、元来辛口の漬物だったといえるが、初代は、自家製の味淋とその絞り粕を用いて、風味のまろやかな独自の奈良漬を開発した。これが、今日まで約二百年にわたって根強く支持され続けてきた「都錦味淋漬」である。
昭和初期までは味淋の醸造も継続していたが、味淋の需要が高まったことから、昭和九年以降は味淋漬を専業とした。ところが、戦時中、米の増産によって瓜がつくれなくなり、さらに職人が次々と召集され、廃業寸前まで追い込まれた時期もあったとのこと。そうした状況下、六代目当主と番頭は力を合わせて艱難を乗り越え、数年間かけて生産体制を再構築し、老舗の味を見事に復活させた。爾来、伝統の製法にさらに磨きをかけ、田中長の奈良漬は、京都が誇るべき名物として、広く認知されるに至ったのである。
良い品をつくり、誠実に商っていきたい
当店の味淋漬は、材料の入荷から漬け上がるまでに約二年という歳月がかかるため、品切れの状態を引き起こさないよう、常に緻密に計画を立てて製造しています。まず、主材料の瓜については、もともとは桂で採れる桂瓜を使っていましたが、充分に収穫できなくなりました。そこで、約二十年ほど前、私どもは調査研究を重ね、京都と気候の似ている徳島県吉野川の流域で栽培されていた越瓜と桂瓜を交配し、非常に質の良い瓜をつくることに成功しました。
この瓜を、収穫してすぐに現地で塩漬け加工を施し、半年から一年間貯蔵します。次に、ほどよく肉質がしまってから酒粕に漬けるのですが、瓜を酒粕に馴染ませるために最初は使い慣らした酒粕を使い、少しづつ新しい酒粕に漬け替えていきます。そして、最後に味淋の粕を加え、さらに三ヶ月ほど漬け込むと鼈甲色をした、当店ならではのまろやかな旨味のある味淋漬ができあがります。合計で七段階の漬け替え作業を行ない、収穫から店頭に並ぶまでに約二年かかるというわけです。瓜の他に、茄子や胡瓜、大根、生姜なども漬けており、こちらも素材の旨味を最大限に引き出せるよう工夫しています。
当店は、「本当に良い品をつくり、誠実に商う」という経営信条のもと、どこよりも優れた品を、どこよりも安く提供できるよう努めています。材料や手間暇を惜しみなく注ぎ込みながら、これからもお客様に喜んでいただける最高の味淋漬をつくり続けていくつもりです。
店舗情報
創業 | 寛政元年(1789年) |
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商号 | 株式会社田中長奈良漬店 |
所在地 | 京都市下京区綾小路烏丸西入ル |
電話 | 075-351-3468 |
FAX | 075-351-4520 |
営業時間 | 午前8時半~午後6時 |
定休日 | 無休(正月3ヶ日のみ休み) |
URL | http://www.tanakacho.co.jp |