遣唐使が伝えた清浄歓喜団
亀屋清永
精進潔斎をし、当主だけがつくる秘法の菓子司
大阪夏の陣の頃、すでに御所や寺社、武家への出入りを許されていた。当代で十七代目というが、その当時はまだ菓子屋として独立して営業している店は少なかった。その功績により、宮中から和泉大掾の称号を賜り、名字帯刀を許されていた。その一方、江戸時代中期の京都のガイドブックともいえる「京羽二重」という古文書には、商売ごとに店の案内が掲載されていたが、そのお菓子の部の筆頭に載っている。
その亀屋清永の代表的銘菓といえば清浄歓喜団。白檀、竜脳、桂皮末など七種の香を練り込んだ皮に餡を包み、上質の胡麻油で揚げた贅沢な逸品。奈良時代に遣唐使によって伝わった唐菓子を、代々作り続けてきたのである。もともとは、天台宗や真言宗などの宗教儀式のお供えものとして使われていたもの。伝来当時は栗や柿、杏などの木の実を甘草やあまずらなどの薬草で味付つけし、甘味を出していた。現在のように小豆餡を用いるようになったのは江戸時代中期以降であり、当時は殿上人ら高貴な人々のみが口にできたものであった。
比叡山の阿闇梨から秘法を教わったというその製法は、千年たったいまも昔の姿をそのままに伝えている。店中の者が精進潔斎のうえで当主が月の一日と十五日を中心に調整されており、したがって、この清浄歓喜団を買い求めるには必ず予約が必要となる。
そのほか、生菓子や干菓子も四季折々の京らしい風雅に富んでいる。信州特産のくるみを大島糖で固めた月影や、一休和尚の高弟だった松風禅師ゆかりの松風饅頭なども人気が高い。
古きを守りつつ新しいものを創作する
温故知新という言葉がありますが、京都は、まさしくその言葉にふさわしい町だと思います。古くから伝わる儀式や手法を大切にしながら、それを時代時代に対応させるべく変化させてきた。だからこそ、今日、伝統的な産業とハイテク産業が同居しているのです。一時的にはミスマッチという現象が起こるのでしょうが、長い年月の間にバランスが取れてくる。そして、次の時代の人が評価をし、さらに進化をしていくんだと思います。
当店でも、古きを守りつつ新しいものを創作していくという心構えを大切にしています。一代一品というのがいわば家訓でありそのための精進は欠かせません。さらに、こだわりというのでもありませんが、うちは関東には店を出していません。全国ネットワ-クも結構ですが、京都でしか買えないというものもあってもいいと思うのです。その思いもくんでいただいて、ぜひ当店の商品をご賞味ください。
店舗情報
創業 | 元和三年(1617年) |
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商号 | 株式会社亀屋清永 |
所在地 | 京都市東山区祇園町南側534 |
電話 | 075-561-2181 |
FAX | 075-541-1034 |
営業時間 | 午前8時半~午後5時半 |
定休日 | 水曜日 |