大徳寺とともに歩み、精進の禅味を育む
大徳寺一久
求法精進に通ずる料理法から生まれる禅味
大徳寺の門前に店を構える一久は、文明年間(1469~87)より大本山大徳寺に出入りし、以来五百数十年に渡って同寺塔頭の料理方を務めてきた。現在では、大徳寺に従属した精進料理店として、伝統の料理を一般にも提供している。一久の屋号は、一休禅師より賜ったと言い伝えられている。また、大徳寺と縁の深い茶道三千家や薮之内家などの各家元の御用を務める。
大徳寺精進料理とは、季節の野菜根、豆腐、湯菜、生麩など植物性の食材だけで作られる料理で、大徳寺の和尚様より辛、甘、鹹、酸、苦の五味の按排の秘法を伝授されたという。限られた材料で百味具足せしめねばならないと教えられ、様々な味覚を醸し出すため、代々の当主が研究と工夫を重ねてきたという。その結果、高度な調理技術が発達し、茶懐石の本源となす枯淡なるも風格ある本膳料理が完成された。
当店の名物、大徳寺納豆は、まず炊いた大豆に大麦粉をまぶし、麹菌を付着させ、塩水につけて天日に干す。夏の炎天下のもとで醸造、発酵させることにより独特の滋味を作り出す。お茶請けや朝粥の副食、酒肴として好まれ、保存や応用の利く常備食となっている。深みのある味と質素簡素を旨とする精進料理の精神にも通じ、その味わいが禅味といわれる故である。
心配りを必要とする精進料理の道
創業以来、当店は大徳寺の料理方を務めておりますので当然ながら大徳寺の行事、塔頭の行事を最優先としています。従って、行事の日程に合わせて店の方は休業することにしています。しかし一般のお客様にお出しする料理も一品一品吟味し、手間暇かけて精進料理の粋を味わっていただけるよう工夫しております。精進料理は複雑で、その奥に深い調理法を会得するためには、やはり相当の経験、精進の考え方が必要とされるといえるでしょう。当店では、創業してから現在に至るまで一子相伝で大徳寺精進料理の技法を家族で受け継いでまいりました。そして大徳寺さんに守られ、ごひいきになり大徳寺精進料理を作り続けてきたからこそ、今日の一久があるといえます。今後もこうした伝統を守り伝来の味を継承していきたいと思います。
店舗情報
創業 | 文明年間 |
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商号 | 大徳寺一久 |
所在地 | 京都市北区紫野大徳寺前 |
電話 | 075-493-0019 |
FAX | 075-491-1900 |
営業時間 | 午後12時~入店 |
定休日 | 不定休 |
予約 | 要予約 |