永い歴史を通して築かれた確固たる信念
松前屋
御所用として、格式高い最高級の昆布製品を開発
松前屋の現当主である三十二代目小嶋文右衛門氏の家系は、鎌倉時代の下野(現在の栃木県)の武将.小山朝政の系統までたどることができる。姓の嶋に山へんを使用しているのは、小山の血を引いているためであり、家の歴史は約八百年にも及ぶ旧家である。南北朝時代、当時の主人は、南朝方に属し、後亀山天皇に従って京に上がった。やがて北朝の時代が訪れてからは官を辞し、御所へ諸品調達係として官中に仕えることとなる。時に元中九年(1392)、小嶋家は天皇から「松前屋」の屋号と「文右衛門」の名を賜り、同時に諸役御免除・名字帯刀を許される。以来、明治二年の東京遷都まで約五百年に渡り、松前屋は皇室と共に歩み深く関わってきた。
日々の調新をはじめ諸々の儀式に使う昆布ほか、様々な品を納めてきたという。そして、天皇家が東京に移ったあとは、高級昆布製品を一般に向けても販売するようになったのである。代表商品の「比呂女」は、道南最高品の真昆布を使用し、約六年の歳月をかけてつくられる。まず、五年間蔵で寝かせた後、一ヶ月かけて米酢で丁寧に戻す。良い部分だけを短冊に切り、じっくりと炊き上げる。これを、さらに一年間かけて自然発酵させることで、「比呂女」のまろやかな滋味が醸し出されるのである。
こだわりと誇りをもって京の老舗ならではの商品をつくる
私どもは、創業以来長く御所に仕えてきたため、原料や包装、技術など、すべてにおいて高級志向を貫いてきました。明治に入ってからも、基本方針は変えることなく、最高級の昆布製品だけをつくり続けました。こうした努力が、結果的には、大きな信用を築き上げることにつながったものと信じております。
本当に良いものをつくり続けていくためには、「こだわり」と「誇り」を持つことが不可欠です。その意味で、京都の老舗は、拡大主義による「ナンバーワン」を目指すのではなく、こだわりと誇りをもって「オンリーワン」を目指していくべきではないでしょうか。言い換えれば、京都ならではの技術や文化、伝統を盛り込んだ商品を、高い感性をもってつくるところに、京都の老舗としての価値があるということです。私どもとしては、松前屋でなければつくれない商品づくりに、今後も取り組んでいくつもりです。
京都の将来に関しては、観光ではなく文化都市として再生すべきだと考えています。そのためには、京都の人間がまず、伝統を伝えていく義務を再認識しなくてはなりません。私どもも、京都の老舗の暖簾を守る者として、京の未来のために尽くしていきたいと思います。
店舗情報
創業 | 元中九年(1392年) |
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商号 | 松前屋 |
所在地 | 京都市中京区釜座通丸太町下ル |
電話 | 075-231-4233 |
FAX | 075-231-6660 |
営業時間 | 午前9時~午後6時 |
定休日 | 日曜・祝日 |