漁獲する時期や産地まで厳密に限定した天然のふぐのみを使用

いがらし あらゆる天然の食材には「旬」というものがある。そして本物を追究しようとする料理人は、最高の料理をつくるために旬にこだわり、食材を厳選する。ふぐ料理の専門店であるいがらしは、旬の天然ふぐだけを使うことにこだわった結果、営業期間を九月下旬から四月上旬の間に限定している。これは、良い味を提供するための「必然」といってもよいであろう。
 いがらしは、明治初頭に仕出し屋として創業した。その後、明治後期に開発した「鯛茶漬け」をはじめとする鯛料理で名を馳せ、料理店として大きく躍進することとなる。その後、下関から出てきた板前がふぐ料理を提案したことから、昭和三十八年ごろまでは鯛料理と並行して出すようになった。やがて、鯛に関しては、いがらしの店主を納得させるだけの素材を入荷するのが難しくなったことをきっかけに、ふぐ料理専門店に切り替わり、現在に至っている。
 同店のふぐの旬や産地に対するこだわりは本当に徹底している。十月から十二月の間は豊後水道で採れたもの、一月から二月にかけては長崎沖から玄海灘のものを、下関の特定の仲買業者から優先的に入荷する、といった具合だ。こうして厳選されたふぐが、つき出し、刺身、鍋物、雑炊といった定番の料理に調理せれるわけだが、その美味しさに疑問をはさむ余地はない。また、同店オリジナルの「焼きふぐ」は、酒類で下味を付けたものと味噌漬けの二種類が用意され、こちらもふぐの美味しさが存分に引き出された素晴らしい料理である。

料理人としての誇りと信念を貫く

昔から、ふぐの美味しい季節は「彼岸から彼岸まで」といわれています。つまり、九月下旬から三月下旬くらいまでの間、ということになります。当店では、冷凍保存したものを絶対使わず、本当に美味しい旬の天然ふぐだけをお出しするために、営業期間を秋口から春先までの間に限定するという方針を貫いています。
 こういう営業方針を固めたのは、納得した材料以外は使わないという、料理人としての信念を守っていくためです。当主である私自身が包丁を握って調理しておりますが、旬を外れたふぐは、食べるまでもなく、包丁を入れたときの感覚で美味しくないことが判断できます。私どもはお客様に最高の料理を食べていただくことをなによりも優先していきたいと願っているのです。
 また、お客様には必ずご予約をいただくようお願いしておりますが、これは、すべての料理をベストのタイミングでお出しできるように段取りを整える必要があるからです。これからも旬にこだわり、最上級のふぐ料理を追究し続けていく所存です。

店舗情報

創業 明治初頭
商号 株式会社いがらし
所在地 京都市東山区知恩院前東入ル
電話 075-525-2901
FAX 075-525-0295
営業時間 午後4時半~午後9時(オ-ダ-ストップ)
営業期間 9月下旬~12月30、1月5日~4月10日 営業期間中は無休
予約 要予約

トップページへ 次のページへ